タイトル「リトル・レディ」 | |||||||||||||
作者名「おがわ ゆきと」 | |||||||||||||
マウス・キーボード専用 | |||||||||||||
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ゲーム性は少なく、選択肢によってゲームオーバーになることはない。 だから、マルチエンディングのノベルアドベンチャーで味わえる「自分で運命を切り開く」という楽しみは、このゲームにはない。 「プレイする」というより「観賞する」という表現の方が適当だろう。 しかし、この作品は「ヴィジュアルノベル」の魅力を、見事に表現できていると思う。 マウスだけでなくテンキーでも操作できるが、 ぜひともメッセージ送りが必要ない、自動表示モード(オートラン機能)を利用していただきたい。 なぜなら、その機能を生かした文体で書かれているからだ(表示時間は設定可能) 浮かんでは消える文章。 それは「段落」ではなく「一文」によって意味をなす。 それを目で追いかけていくと、だんだんとイメージが積み重なっていくのを感じるはずだ。 グラフィックはスクロールを効果的に生かしたものだが、決して読者の想像力をさえぎるものではない。 この作品を鑑賞した人の感想は「感動した」という意見が多い。 しかし、あからさまに感動させる文章は、この作品では出てこない。 実際、文章で羅列すると、この作品は、ストーリーに比べて驚くほど文章量が少ない。 それなのに、浮かんでは消える文章を追いかけるだけで、胸の中に何かがこみあげてくるのはどうしてか? この作品を鑑賞することは、あなたにとって刺激的な体験であるはずだ。 他のヴィジュアルノベルとは一線を画するものが、この作品にはある。 この作品は、三つのシナリオからなっている。 それらは、世界観は同じだが、それぞれ趣が異なっている。 「娘編」は心の交流を描くあたたかい物語。 「舞編」は次の展開に息をのむ見事な構成による物語。 最後の「ユミ編」はコミカルながらもドラマチックな物語。 この作品を「世界名作劇場」のように思われている方もいるかもしれないが、 それはあくまでも「娘編」という一つのシナリオの要素にすぎない。 「世界名作劇場」めいた雰囲気が嫌いな人にも、「舞編」の完成度が高いシナリオには、目を見張るものがあるはずだ。 この作品の世界観は「ファンタジー世界」である。 そのような物語が陳腐に思われるかもしれない。 しかし、この物語は、あなたの「原風景」をゆさぶるに違いない。 「石畳の坂道をのぼると、丘の上に鐘が鳴る教会がある」と表現すれば良いだろうか。 この作品を体験することは「ヴィジュアルノベル」の可能性を知ることができると思う。 マウスを何度もクリックする必要はないし、Enterキーを何度も押す必要はない。 あなたが心の安らぎを求めているときは、ぜひともこの作品にふれていただきたい。 (Reviewer エスケー) |
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<作者HP> |
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